気づいてからでは遅いフリーランスの健康管理

事務所を持たずに自宅を仕事場にしていると、定時がないばかりに、少し気を抜くと時間の使い方がめちゃくちゃになります。

ぼく自身、フリーランスになりたての頃は、時間という存在を忘れたのかというほど、仕事、仕事、仕事でした。ごはんもろくに食べず、徹夜は当たり前。何に焦っていたのかわかりませんが、非常に効率の悪い働き方をしていました。

案の定、それが原因で身体を壊してしまいました。発症から5年以上経つ今でも、その病気と闘いながら仕事をしています。そのため遠方への旅行などはいけません。おそらく丈夫な人は大丈夫だろう?なんて気持ちがあるかもしれませんけど、そんなことはありません。いつなんどき、どんなことが自分に起こるかは予想できないのです。

ぼくは、6年ほど外で力仕事をしていた時期もあり、夏の炎天下、冬の吹雪の中でも仕事をしていましたので、かなり体力には自信がありました。まさに自己過信。体力があるから、ちょっとの徹夜ぐらい大丈夫だろう・・・なんて軽い感じです。性格も基本的にかなり明るく、楽観的、遊びが好き、物事を悪い方向に考えない、テンションも高め。友達もまあ多くはなかったですが、喜びを分かち合える仲間はいました。

ですが、フリーランスになってから、がらっと状況が変わりました。給料がないわけですから、自分で稼いだ分しか得られません。しかもわたしの場合は、はじめから付き合いのある顧客がいたわけではありません。まったくゼロの状態から始めました。そう簡単に顧客とは出会いません。

そうなるともう必死です。仕事と勉強で、おそらく1日平均18〜19時間ぐらい使っていました。最初は仕事があってもまったく稼げませんでした。Webだけではなく、店舗の経営もしていたので逆に借金の日々です。時間が惜しく、外に遊びにいくこともなくなりました。完全にひきこもりです。昔の自分からは想像もつきませんでしたが、そうするしかなかったのです。友達もかなり減ってしまいました。

昔学生の頃、飯も食わず36時間ぶっ続けでゲームをやったことがあるのですが、その集中力が逆にあだとなったのかもしれません。

それに、「お金がない」という恐怖に負け、おびえ、その上、その現実を自分の心で緩和する方法すらわからなかったのです。「まさか自分が稼げないわけない」と、ここでも自己過信が自分を絶望させる材料になるなんて、想いもしませんでした。お金の心配、そのストレスは自分が思っている以上に、深刻だったようです。

そして、起業後、1年たらずで精神的にも肉体的にも破綻してしまいました。

日常生活も辛くなるほどの病気になりました。といっても2年ほど病院を転々として様々な精密検査をしても病院ごとに診断が違うため、何の病気なのかわからず、明確な治療方法はありませんでした。

原因がわからず、何の病気かもわからない状態で、非常に不安でした。酒を飲み過ぎて気持ち悪くて吐く時ありますよね?何もしていないのに、常に毎日そんな感じでした。そこにさらなる様々な不快な症状が追い打ちをかけます。正直言うと、本気で自殺を考えた時期もあります。それほど毎日が苦痛でした。身体がまったく言う事を聞いてくれないのです。

仕事の打ち合わせ行くにも行けないこともしばしば。行けたとしてもまずトイレで・・・みたいな。これじゃ本当に仕事になりません。積極的に仕事を得る行動すらできなくなるのです。

ただそれも、ようやく今年、よい先生にめぐり合うことができたため、回復に向かいつつあります。

でもこれはすべて自分が撒いた種。その種がまぁすくすくと育ったわけです。

今は普通のサラリーマン以上には稼げるようになったので、お金の心配はないと思われるんですが、そんなことはありません。昔なら無い口座の残高をなんども見てはため息をつき、を繰り返していましたが、それがなくなった程度です。いつキャッシュが途切れるかなんて、誰にもわからないのです。

でも、お金自体はただの紙です。そして貧富は自分の価値観で判断しているだけです。国が違えば豊かさの基準も違います。

そして一番大切なのは、仕事をするために生きるのではなく、生きるために仕事をしているんです。逆の考えのひとも多いのは事実ですが・・・。
でも、お金を稼いでも有効に使えなければ意味がありません。そしてお金がないことを嘆く必要もありません。貧しいかどうかは自分が決めるのです。

はなしが少し逸れました。

ちょっとの過労でここまでなる人というのは少ないかもしれませんが、現実に起こりうることです。そして、これを未然に防ぐには、自分と生活を制御することです。これしかありません。

人間らしい生活という曖昧な表現になってしまいますが、それが一番大切です。

家族がいるなら、家族との時間を、友達が1人でもいるならば、ちょっとカラオケでも旅行でも行ってください。そのへんの公園でもいいです。お金がなくてもできることはあります。

手を止める時間は本当に必要です。

欲をいえば、朝は日が昇れば起き朝ご飯をしっかり食べ、日が沈めばちょっと仕事を抑える。極力0時までには寝る。たったこれだけでも、身体は正常に向かいます。仕事の効率も確実にあがります。

そう、お金がなくてもできることがあるはずなのに、ぼくはそれをしてきませんでした。なにより今は稼ぐことが優先だ。と。

いやいや、そんな心持ちだと、稼げるものも稼げません。というか、それは甘えだったような気がします。フリーランスは家でゆっくり仕事もできるし、楽できるかもな〜なんて甘い考えがあったからこそ、現実を直視できなかったのかもしれません。

現実の正しい姿を見ようとする努力が大切なんですね。

これから自分で仕事をつくりたいと思っている人へ、ぼくから言えるささやかなアドバイスです。